法定後見制度とは
精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害等)を有する者の判断能力に応じて後見・保佐・補助の3つに分けられます。
障害の重さの応じて、後見>保佐>補助の順になっています。
法定後見は、まず家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が審理・審判により成年後見人等が選任されます。自由に後見人を選べる任意後見とは違い、法定後見は家庭裁判所が後見人等を選任する点が大きな違いの1つです。
成年後見人等になれない者
・未成年者・家庭裁判所で免じられた法定代理人、保佐人又は補助人
・破産者
・行方の知れない者
・本人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族
※法人が後見人になること
複数の者又は複数の法人が成年後見人等になることもできます。
法定後見の主な流れ
はじめに、申立人(後述)が後見等開始の審判申立の書類を作成する。↓
申立書等の準備が整ったら家庭裁判所に申立日の予約を行う。
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申立当日、家庭裁判所は、後見等開始の申立書類の審査、申立人、後見人等候補者及び本人の面接調査を行う。
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保佐・補助開始の場合、代理権の付与には本人の同意が必要なため、家庭裁判所は本人への同意調査も行う。
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家庭裁判所はその他親族への照会、鑑定(後見・保佐の場合)等を行う。
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家庭裁判所での審理が終わると、審判により成年後見人等が選任される。
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審判から2週間が経過すると審判が確定し、全国の後見登記の事務を行っている東京法務局が後見等の登記を行う。
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審判確定後、成年後見人は1ヶ月以内に財産目録及び年間収支予定表を作成して家庭裁判所に提出する。財産目録を作成している時点では、急迫の必要がある場合を除いて成年後見人は職務を行うことができない。
後見等開始の審判申立ができる者
・本人・本人の配偶者
・四親等内の親族
・未成年後見人
・未成年後見監督人
・後見人
・後見監督人
・保佐人
・保佐監督人
・補助人
・補助監督人
・検察官
※本人の任意後見契約登記がされている場合、任意後見人、任意後見監督人も申し立てることができます。
法定後見の終了事由
【絶対終了】①後見人等開始の審判取消
②本人の死亡
③本人の失踪宣告
【相対的終了】
①成年後見人等の死亡
②成年後見人等の破産宣告
③成年後見人等が行方不明
④成年後見人等の辞任あるいは解任
⑤成年後見人等である法人等の解散
成年後見人等の辞任、解任及びその手続
成年後見人等に病気等のやむを得ない事情がある場合、「後見人等辞任許可の申立て」を行い、家庭裁判所の許可を得て成年後見人等を辞任することができます。また、成年後見人等の任務に適しない事由がある時は、成年被後見人、被保佐人、被補助人、成年後見監督人等、本人の親族若しくは検察官の請求又は家庭裁判所の職権によって成年後見人等を解任することができます。
横浜市の成年後見に関する相談体制
横浜市では、横浜生活あんしんセンター、各地域ケアプラザ(地域包括支援センターに相当)、区役所福祉保険センター及び区社会福祉協議会が成年後見に関する相談先となっています。※横浜生活あんしんセンターは平成10年に高齢者権利擁護の専門機関として開設された。
現在、同センターの運営は横浜市社会福祉協議会が行っている。
横浜市の成年後見に関する士業関係者との連携
横浜市では、成年後見制度の関する2つの連携組織があります。【横浜市成年後見制度関係機関連絡会】
年1回開催。同会議では、横浜市役所、横浜家庭裁判所、市社会福祉協議会、行政書士会、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会の各関係者が参加して士業団体の活動報告と今後の事業方針について話し合いを行っている。
【成年後見サポートネット】
平成14年に一部の区で始まり、その後、平成18年から横浜市全区で始まった。サポートネットの運営は区役所が事務局となり、参加者数や参加者については各区の実施内容に応じている。
市民後見人の養成
横浜市市民後見人養成は平成24年から始まった。養成については同市が横浜市社会福祉協議会に委託している。横浜市における市民後見人養成は、
まず、希望者は始めに基礎編と実務編からなる養成研修を受講。
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その後、市民後見人推進委員会による選考を経て、選出された者は実務実習に進む。
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実習が終了すると再び同委員会の選考を受け、選出された者は候補者として登録される。
※現在は青葉区、緑区、西区の3つの区で先行して実務実習が行われている段階である。
市民後見人は他の専門職と同様に個人で成年後見人等に選任される。成年後見制度の実務の相談・支援は横浜生活あんしんセンターが行う予定となっている。